骨粗鬆症

骨粗鬆症は骨密度が低下し軽微な外力でも骨折しやすくなる病気です

骨粗鬆症は、特に閉経後の女性に多く、女性ホルモンが低下し骨吸収が進んで骨密度が低下します。

骨粗鬆症の状態で転倒して、手をついたり肩をぶつけたりするとすると、手首の骨折(橈骨遠位端骨折)や肩の骨折(上腕骨近位部骨折)が発生します。骨折のずれが大きい場合は、手術が必要になります。

また、少し高齢になり運動機能が落ちてくると、ふらついて転倒し、股関節の周囲をぶつけて大腿骨の骨折(大腿骨近位部骨折)が発生します。この骨折は、手術をしなければ長時間ベッド上で安静を必要とするため、肺炎や床ずれ、認知症を発症してしまいます。よって、大腿骨近位部骨折はほぼ全例手術を行うこととなります。

さらに、尻餅をついて腰椎圧迫骨折が発生しやすくなります。この骨折は背骨が潰れてしまうので、明らかな外傷がなくても高度の骨粗鬆症ではいつの間にか骨折が発症しています。この骨折も、慢性的な腰痛の原因になります。

このように骨粗鬆症には多くの骨折リスクがあり、その後のADLを低下させ介護が必要となる重大な疾患です。検査にはさまざまな方法がありますが、DEXA(デキサ)という特殊な装置を使った骨密度検査が正確で重要です。当院では、全身の骨を検査できる装置を導入して、より正確な骨密度検査を行うことができます。さらに、血液検査によりカルシウムの量や骨の代謝(骨を作ったり、壊したりする体の反応)を定期的に検査し、より良い治療が選択できるようにしています。

治療は何より予防が大切です

若い時からカルシウムを摂取し、カルシウムを体内に取り込むために必要なビタミンDを積極的に取るようにします。また、ビタミンDが活性化するために、日光に当たることが必要であり、運動負荷を骨にかけることで骨を強くする効果があります。基本的には、20~30歳台の骨密度が高い方が有利と言えます。そのため、生活習慣づくりを若い時から行う必要があります。

しかし、残念ながら骨粗鬆症になってしまったら薬や注射による治療を行います。現在、いろいろな種類の内服薬があり、自分の生活に合わせて飲み方もいろいろ選択できるようになりました。必ず自分に合うお薬が見つけられると思います。

さらに最近では、重度の骨粗鬆症に対して女性ホルモンの注射薬が使われ、高い治療効果が報告されています。しかし、使用できる期間に限度があり、使用法については医師と相談の上、適切な時期に使用しなければなりません。

このように、骨粗鬆症は予防から始まり、骨密度の治療や骨折に対する治療と、長期間で多岐に渡ります。主治医とは長いお付き合いになりますので、疑問や要望をしっかり伝えるようにしてください。
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