regenerative-medicine
再生医療
再生医療とは損傷した体の一部や臓器を様々な方法により再生させる最先端の医療技術です。例えばIPS細胞により様々な臓器を作り出す研究や治療が最も有名です。
整形外科領域では自分の体にある細胞を人工的に増殖しそれを患部に移植する技術や、生体内の組織を壊し自己修復能力を刺激する方法、体内の物質を濃縮し様々な成長因子の能力を最大限引き出し損傷部位の修復や症状を軽減するものが代表的です。
最も身近なものはPRP療法です。
PRP療法
PRPとはplatelet rich plasma(多血小板血漿)の略で血液中に含まれる血小板成分を取り出しの薄くした形で患部に戻します。そこに含まれる成長因子やサイトカインが炎症を抑え組織修復に作用します。
整形外科で行われるPRP療法には2種類あります。
第2種再生医療:
変形性膝関節に対するPRP療法
関節軟骨の摩耗、骨の変形による関節炎で関節痛が発症します。変形性関節症は4段階あり症状が軽いI-IIでは約70%の人に効果が認められ、重症のIIIで66.1%、IVでは56.2%の人に効果があったとされています。
(⼀次性変形性膝関節症に対するPRP治療︓自験例に基づく臨床成績Bone Joint Nerve vol.10 No.2 2020(187-191))
第3種再生医療:
靭帯・腱および腱付着部に対するPRP療法
スポーツ選手の靭帯損傷や腱の損傷に行われ近年では肉離れにも応用されています。
対象になる疾患は多岐にわたり
- 足底腱膜炎(保険での治療が認められている)
- アキレス腱炎
- 膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
- 膝靭帯損傷や足関節外側靭帯損傷(捻挫)
- テニス肘
- 肩腱板損傷
- ハムストリングや腓腹筋肉離れ
- 疲労骨折 など
PRPのメリット
- 自分の血液を用いるためアレルギー反応などが起きづらい
- 入院が必要なく外来で治療が可能
- 繰り返し治療が可能
PRPのデメリット
- 保険で治療できる疾患が足底腱膜炎しかなく他の疾患は自費診療で行う
- 治療費の自己負担が通常よりも高額になる
- 100%の効果が得られるわけではない
治療の流れ
- PRP治療に興味がある方は医師に直接相談してください。
- 主治医から治療の説明(治療費については主治医より説明があります)
- 治療に対して納得されれば治療開始
- 採血
- PRP作成
- 注射により投与する
治療後2~3日は運動を控える。場合によっては患部に痛みが出るが数日で軽快します。
その後徐々に運動量を増やしリハビリで筋力強化などのトレーニングを行う。
治療後3か月、6か月で効果判定を行う。
注意
PRP療法は最先端の治療法であり世界中で研究が行われています。
PRP療法はPRPの作成の仕方、疾患の重症度により効果の発現に差がありどの人も同じ効果が得られるとは限りません。
また、自費診療になるため高額な治療費が必要になります。
あくまでも保険診療で治療効果が不十分なもの(持病があり手術が難しい、様々な保存的治療を十分おこなったが十分な効果が得られず手術治療を望まない方、スポーツの選手で治療に時間をかけられないまたは自分の体にメスを入れたくないなど)に適応があります。
あくまでも第一選択ではなく治療のオプションの一つであることをご理解ください。