PRPとは、Platelet-Rich Plasma(多血小板血漿)の略で、血液中に含まれる血小板成分を取り出し、薄くした形で患部に戻します。そこに含まれる成長因子やサイトカインが炎症を抑え、組織修復に作用します。整形外科で行われるPRP療法には、2種類あります。
PRPとは?
platelet rich plasma(多血小板血漿)の略で、血液中に含まれる血小板成分を取り出し濃縮した形で患部に戻します。そこに含まれる成長因子やサイトカインが炎症を抑え、組織修復に作用します。
PRPに含まれる抗炎症性物質と成長因子の働き
血小板由来成長因子(PDGF-aa, PDGF-ab, PDGF-bb)
細胞の複製を刺激し、血管形成・上皮形成・肉芽組織形成を促進。
形質転換成長因子(TGF-β1, TGF-β2)
細胞外マトリックス形成を促進し、骨細胞の代謝を調節。
血管内皮成長因子(VEGF)
血管形成を促進。
線維芽細胞増殖因子(FGF)
内皮細胞および線維芽細胞の増殖を促進し、血管形成を刺激。
当院では、PRPからさらに成長因子を濃縮しフリーズドライにしたPFC-FDというものを採用しています。PFC-FDに含まれる成長因子は、通常のPRPの約2倍と言われています。
どんな疾患が治療の対象となりますか?
- 難治性の変形性関節症:膝(半月板損傷を含む)、股関節、肩関節、足関節など
- 腱の炎症:肩腱板損傷、テニス肘、アキレス腱炎、膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
- 靭帯損傷:膝靭帯損傷、足関節外側靭帯損傷(捻挫)
- 足底腱膜炎(保険での治療が認められている)
- ハムストリングや腓腹筋肉離れ
- 疲労骨折 など
効果はどれくらいですか?
変形性膝関節に対するPRP療法
関節軟骨の摩耗、骨の変形による関節炎で関節痛が発症します。変形性関節症は4段階あり、症状が軽いI-IIでは約70%の人に効果が認められ、重症のIIIで66.1%、IVでは56.2%の人に効果があったとされています。
(⼀次性変形性膝関節症に対するPRP治療:自験例に基づく臨床成績Bone Joint Nerve
vol.10 No.2 2020(187-191))
靭帯・腱および腱付着部に対するPRP療法
今まで大リーグの大谷選手が肘内側靭帯損傷にPRP療法を行ったことは有名ですが、野球やサッカーなど多くのスポーツ選手の靭帯損傷や腱の損傷に行われ、近年では肉離れにも応用されています。
PRP療法の安全性は?
自分の血液を用いるため、アレルギー反応などが起きづらいと言われています。
効果の持続時間は?
患者様の病態により効果持続時間は変わりますが、約6ヶ月~1年間効果が持続すると言われています。
PRP療法のメリットは?
- 入院が必要なく外来で治療が可能
- フリーズドライなので長期(常温で6ヶ月)の保存が可能。
- 繰り返し治療が可能
PRP療法のデメリットは?
- 保険で治療できる疾患が足底腱膜炎しかなく、他の疾患は自費診療で行う
- 治療費の自己負担が通常よりも高額になる
- 100%の効果が得られるわけではない
治療の流れ
STEP 1
PRP治療に興味がある方は、医師に直接相談してください
STEP 2
主治医から治療の説明(治療費については主治医より説明があります)
STEP 3
治療に対して納得されれば治療開始。同意書の作成。採血日の決定。
STEP 4
採血日、50mlの採血を行い、外部にPFC-FD精製を依頼します。
STEP 6
採血から3週間以降に、注射により患部にPFC-FDを投与する
治療後2~3日は運動を控えてください。場合によっては、患部に痛みが出ますが数日で軽快します。その後、徐々に運動量を増やしリハビリで筋力強化などのトレーニングを行います。治療後3ヶ月、6ヶ月で効果判定を行います。
注意
PRP療法は最先端の治療法であり世界中で研究が行われています。
PFC-FDによる治療は、疾患の重症度により効果の発現に差がありどの人も同じ効果が得られるとは限りません。また、自費診療になるため高額な治療費が必要になります。
あくまでも保険診療で治療効果が不十分なもの(持病があり手術が難しい、様々な保存的治療を十分おこなったが十分な効果が得られず手術治療を望まない方、スポーツの選手で治療に時間をかけられない、または自分の体にメスを入れたくないなど)に適応があります。
本治療は第一選択ではなく治療のオプションの一つであることをご理解ください。