当院では、これまで多くのスポーツチームをサポートしてきた知識と、あらゆる関節に対応できる高い治療技術があり、幅広く対応します。スポーツ傷害の診断に欠かせないCT・MRIは、グループクリニックである「頭とからだのクリニックかねなか脳神経外科」(当院の向い)と連携し、必要な場合は当日に検査を行います。
治療に関しては、リハビリテーションを行い、競技復帰や競技力向上に向けたアスレチックリハビリテーションまで、すべて当院で対応します。
また、手術が必要な場合には、院長が自ら、中野区江古田の総合東京病院で関節鏡を用いた最少侵襲手術を行い、診断・治療からスポーツ復帰や再発予防までトータルにサポートします。
前十字靱帯損傷(ACL損傷)
前十字靱帯損傷の症状
膝関節前十字靭帯(Anterior cruciate ligament;
ACL)は膝関節の中にある重要な靱帯で、膝関節の安定性をもたらしています。ACL損傷はスポーツ中に多く発生しますが、一度断裂してしまうと自己回復能力が乏しいために治療には手術が必要になります。もし手術をせずにACL損傷を放置すると、膝関節の軟骨や半月板といった他の組織に負担がかかり、長期的に膝関節の変形を来すことになります。また、スポーツを行う際や、階段の昇降といった際に膝関節の不安定感や痛みを感じるようになります。
前十字靱帯損傷の原因
多くはスポーツ活動中に生じます。他のプレーヤーがタックルなどで膝にぶつかって切れる接触型の場合と、自分がカット動作やジャンプの着地の際に自分の筋力と加速のついた自重の負担に靱帯が耐えきれずに断裂してしまう非接触型があります。
さらに着地動作の際の下肢のアライメント不良や、個々の関節の形状によっても断裂しやすい人がいるとも言われています。
前十字靱帯損傷の治療
ACLの手術では、断裂した靱帯をつなぎ合わせる事が難しいために、他の組織を移植してACLの代わりになる靱帯を作ります。これをACL再建術と言います。ACL再建の手術は、十分な知識と経験が必要です。院長はこれまで米国Pittsburg大学でACL再建の研究を行い、日本大学病院を中心に500例以上のACL再建術を行ってきています。一般的には、手術後6~9ヵ月でスポーツに復帰が可能です。
MCL損傷
MCLは膝関節内側部にある靭帯で外反動揺性を制御する靭帯です。膝靭帯損傷の中では発症頻度が高く日常診療でも多く目にします。発症機序は膝外反になるような場合に発症します。膝の外側からタックルを受けたり、内側から外反方向にはらわれたりして起こります。
また、knee inの状態に捻ってしまう非接触型の損傷でも発症します。MCL損傷はACL損傷などの他の靭帯損傷または半月板損傷と合併する場合が比較的多く見逃さないようにする必要があります。
診断は徒手検査・MRIで行います。ほとんどの場合大腿骨付着部周辺で損傷しているため大腿骨側に圧痛が見られます。重症度は膝伸展位と軽度屈曲位での外反動揺性により判断します。
Grade I: 靭帯断裂はない
Grade II: 靭帯の部分断裂
Grade III: 靭帯の完全断裂
「Grade I」は、靭帯断裂がなく不安定性がないため、痛みが軽減するまで安静にし、比較的早期から可動域訓練、筋力強化を行い数週間で復帰できる場合がほとんどです。「Grade II」「Grade
III」は、靭帯の断裂があり、1週程度ギプスシーネで固定し、硬性装具を用いた可動域訓練、筋力強化を行いしっかりしたコンディショニングを行って受傷後6~12週で完全スポーツ復帰とします。
手術をすることはまれですが複合靭帯損傷の場合や保存的治療後に不安定性が残存した場合、脛骨側付着部断裂の場合は修復術もしくは再建術を行います。
※脛骨側付着部断裂:MCL脛骨側付着部で断裂する場合がまれにあります。不安定性は高度で皮下出血もありますが患者自身の自覚症状は軽い場合が多いようです。MRIでは脛骨側の付着部で断裂が見られます。この損傷は保存的治療をしても不安定性が残存するケースが多く修復術の適応になります。
前十字靱帯損傷(PCL損傷)
準備中
半月板損傷
半月板損傷の症状
曲げたり、踏み込むと膝に痛みが出ます。損傷した半月板が挟まりこむと曲げ伸ばしができなくなって、膝が引っかかったようになります(ロッキング)。
半月板損傷の原因
スポーツ活動中に激しく膝をねじったときに生じる場合もありますが、特別なアクシデントがない場合にでも生じることがあります。中高年では自然に変性し断裂していることもあります。半月板は、膝関節のクッションの役割をもつ線維軟骨であり、主な働きとして荷重の分散、関節の安定性、運動の潤滑などに関係しています。一つの膝に内側と外側の二つの半月板が存在します。半月板は血流に乏しく、血行が周辺の1/4程度にしかないために、一度損傷すると自己修復されることが難しいとされています。
半月板損傷の治療
症状からだけでもおおよその判断が付けられますが、診断をはっきりさせるにはMRI検査が有用です。治療方法は関節鏡視下手術が必要となります。半月板の損傷部分だけをトリミングする半月板切除術を行う場合と、糸で縫い合わせる縫合術があります。切除術は血行に乏しい辺縁部に小~中程度の断裂が認められた場合や、縫い合わせることができない程度にボロボロになっている場合に行います。縫合術の適応としては、断裂部が血行に富んでいる部分に存在する場合であり、縫合することによって断裂部の修復が期待できる場合です。受傷してからできるだけ早く手術をけるほど縫合してもとに戻せる可能性が高まります。
しかし半月板は本来切り取ってしまっても問題のない組織というわけではなく、膝関節の機能には欠かせない組織でありむやみに切除してしまうと将来的に関節軟骨を痛めてしまう可能性が高くなるといわれています。そのため極力温存する方法をお勧めしています。縫合して残せないと判断した場合でも症状がごく軽い場合には、筋力トレーニングや痛み止めの内服、関節内注射などの保存的療法で治療する選択肢もあります。
円板状半月板
準備中
膝蓋骨脱臼
準備中
OCD・軟骨損傷
OCDは原因不明の骨軟骨血流障害で発症します。
透亮期、分離期、遊離期
分離期の末期や遊離期では手術が必要なケースがあります。手術方法は「デブリードマン」、「BMS」、「骨軟骨柱医移植術」、「自家軟骨細胞培養移植術」があります。
高位脛骨骨切り(HTO)
変形性膝関節症初期の症例に対して行われます。変形性膝関節症はO脚(内反膝)になることが多く膝関節の内側で荷重を受けることになり荷重の分散がうまくいかなくなるため関節内に炎症が起き関節水腫や疼痛が発生します。
手術は近年さかんに行われるようになったopening wedge high tibial osteotomy
(OWHTO:内側開大型高位脛骨骨切り術)を行っています。すねの骨(脛骨)に近位部を内側から外側に骨切りをし、開大します。それにより下腿が外反し、軽いX脚の状態になります。これにより膝関節の中心で荷重を受けることができ荷重の分散がうまくいくようになり関節内の炎症が減り、痛みがやわらぎます。
自分の関節が温存できるので可動域制限が少なく膝の感覚を損なうことがありません。その反面、O脚が強い症例や肥満がある方や靭帯損傷合併例には適応になりません。
顆間隆起骨折
顆間隆起骨折は脛骨顆間隆起が前十字靭帯(ACL)の付着部で裂離骨折を起こしたものです。一般的にはACL損傷と同様な機序で発生すると考えられています。この骨折は比較的若年者で起こるとされていますが中高年者でも散見されます。
骨折は骨片の状態によりMeyers-Mckeever(メイヤーズ、マッキーバー)分類で分けられます。骨片の転位が大きいとACLが緩んでしまいACL不全状態になってしまします。
骨片が半月板の横靭帯の上に持ち上がってしまうと整復位が得られず骨癒合が阻害されたり、骨片の転位が残存するためACL不全膝となるため手術が必要と考えられます。骨片の転位が少なく膝伸展位で良好な整復位が得られる場合は膝伸展位で骨癒合が得られるまで固定します。
手術は関節鏡視下に骨片を整復し骨片に糸をかけ脛骨側にpull outする方法を行っている。 骨癒合には3か月、コンディションを整えてスポーツ復帰は4-6か月後が目安です。
鷲足炎
準備中
腸脛靭帯炎
準備中
ジャンパー膝
準備中
足関節捻挫・靱帯損傷
足関節捻挫の症状
足首をねじった直後から、激しい痛みと腫れが生じます。内出血がひどくなる場合もあります。
診断
外側靭帯損傷(前距腓靭帯、後距腓靭帯損傷)は重症度によって3段階に分けて考えます。
Grade I: 靭帯が引き延ばされたかわずかに損傷を受けた状態で、腫れや痛みはそれほど強くありません。
Grade II: 靭帯の中程度の損傷があり、痛みのために体重をかけて歩くのは難しい状態です。
Grade III: 靭帯が完全に断裂し、足関節の緩みを生じます。非常に強い腫れと痛みで1~2日後には踵の周辺が内出血で変色します。
足関節捻挫の原因
足関節の捻挫はスポーツ活動に伴って頻繁に生じる外傷の1つです。多くは足関節を内側に捻る(内返し、内反)状況で発生します。この場合は前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯の損傷や二分靭帯(Y靭帯)の損傷が引き起こされます。逆に足関節が外側に捻られた場合(外返し、外反)には三角靭帯の損傷が生じることがあります。数か月過ぎても痛みが変わらない場合には、軟骨損傷(離断性骨軟骨炎)を生じている可能性があるのでMRIでの検査が必要になります。
足関節捻挫の治療
初期治療
とにかくRICEです。けがをしてから24~48時間の継続が理想的です。痛みが強い場合は、骨折していることもあり得るので、医療機関を受診するようにしましょう。
その後の治療
重症度によって治療方法が異なりますので、主治医とよく相談して病態を自分でも理解して、治療に当たることが大切になります。「Grade Iでは手術の必要はなく、痛みが無くなるまで固定しリハビリ後に復帰します。「Grade II」「Grade
III」では3週間の固定が必要ですが、手術が必要になることはほとんどありません、後にリハビリをして受傷後約2~3カ月で足関節装具やテーピングなどを使用しスポーツ復帰します。
リハビリテーション
重症の場合には約3カ月かけて次のようなメニューを、段階を追って進めていきます。
- アイソメトリック訓練(関節を動かさずに筋肉を収縮させる)
- 関節可動域訓練・ストレッチング
- バランス訓練
- ウォーキング、ジョギング、ランニング
- 競技ごとに関連したトレーニング
慢性化した場合
何度も捻挫を繰り返してしまう場合。スポーツをした後に腫れや痛みが出現するようになった場合。まずは足関節周囲の筋力強化を行い、スポーツ復帰を目指します。足関節がゆるい状態で抜けるような感じがある場合は手術で治療します。現在は関節鏡を用いた靭帯修復術を積極的に行っており良好な結果が出ています。
予防
- 競技特性に合ったシューズを使用する
- 足関節周囲の筋力強化をしっかり行う(特にオフシーズン)
- テーピングや装具で補強する
- 路面の不整な場所でのランニングは控える
第5中足骨疲労骨折
第5中足骨近位部に発生する疲労骨折でサッカーやラグビーなどスパイクを履いて競技をする選手に多く見られますが、そのほかのスポーツでも発生します。第5中足骨の近位部に繰り返すストレスがかかり徐々に発生するため、はじめは痛みが軽く競技継続が可能です。しかし、時間がたつにつれて骨折部周囲の皮質骨の肥厚や硬化が強くなり自然治癒能力が低下し難治性となります。
予防にはインソールの使用、スパイクの選択、グランドのサーフェスの問題を解決する必要があります。保存療法でも2-3か月のスポーツ中止により骨癒合は得られますが再発例も少なくないため治療期間短縮のため早期に手術をする例もあります。
手術はスクリューによる髄内釘固定を行うことが一般的です。骨硬化が強く骨癒合が遷延しそうな場合は骨移植も行われます。術後は約2か月でスポーツ復帰可能な例がほとんどです。
距骨軟骨損傷
準備中
偏平足
準備中
疲労骨折
準備中
アキレス腱周囲炎
準備中